愛知県安城市にある、こたつヒーター国内シェア80%を誇るメトロ電気工業。
社長の川合誠治さんに、自社製品の開発秘話や電気代を抑えるコツ、賢い選び方など、こたつの裏技を聞きました!
今回の案内役はこの人!
安城にあるこたつメーカーに突撃
樅山香織(キャッチネットワーク)
「近所のはなし」編集担当。碧南市出身で、現在は2歳になる男の子の、子育て真っ最中。幼い頃から冬はこたつで温まりながら、家族団らんの時間を過ごすのが楽しみ。
川合誠治さん(メトロ電気工業株式会社代表取締役社長)
刈谷工業高校を1回生として卒業後、昭和41年メトロ電気工業株式会社に入社。17年前、10代目社長に就任。現在69歳。開発一筋で、こたつヒーターのことならなんでもお任せのこたつ博士。
こたつは日本発祥!ニーズに合わせ日々進化中
樅山
そもそも、こたつは日本で生まれたものですか?
川合
そうです。室町時代に、木炭や練炭が入った鉢を木枠で覆い上から布団をかけた「櫓こたつ」が誕生したことが始まりです。昭和30年代には現在と同じ机の下に電気ヒーターを取り付けた「赤外線やぐらこたつ」が誕生し大ヒット。昭和54年あたりから「家具調こたつ」が普及してきました。
樅山
まさかの室町時代ですか?すごい歴史があるんですね。ちなみに、メトロ電気工業は、いつからこたつを作っていたのですか?
川合
元々は電球の製造販売をしていましたが、世間で電気式こたつが大ヒットしたのをきっかけに、昭和38年にこたつヒーターとなる赤外線電球を開発。私は入社以来ずっと開発に携り、時代のニーズに合わせて日々研究や開発を繰り返し、現在では国内シェア80%。無印良品やニトリ、イオンなど大手量販店にあるもののほとんどは私たちが製造したものです。
樅山
店の名前を聞くと有名なところばかりですね。もう、日本のほとんどの家庭にあるこたつを作っているといってもいいかもしれませんね。
こたつの賢い選び方とは?
樅山
こたつは何を基準に選んだらいいんですか?
川合
テーブルに取り付けられているので特に意識しない人が多いですが、すぐに温まる「ハロゲンヒーター」や消費電力が少なくすむ「カーボンヒーター」など熱源には種類があります。また、温度の調整も、設定すれば自動で調整してくれる電子制御方式や自分で自由に無段階調整ができるものなどさまざま。機能によって値段も異なるので、どんなヒーターが付いているのか一度店員さんに聞いてみるといいですよ。
樅山
全く気にしていなかったです...。ヒーターの種類によって違うんですね。もし、購入するときは、少し気にしてみるといいかもしれませんね。
プロフェッショナルだからこそ知る裏技
樅山
電気代も気になるところですが、効率的な使い方はありますか?
川合
こたつは一度温まってしまえば、あとは保温の電気しか消費しないので省エネ暖房です。はじめは強に設定して15~20分ほど温めたら、あとは中や弱にしておくと電気代も少なくすむのでおすすめです。
樅山
なるほど。これは主婦のみなさんにとって嬉しい情報ですね。早速、実践してみます。ほかにも川合さんだからこそ知る裏技はありますか?
川合
こたつ布団はできるだけ分厚いものにすると、熱が逃げにくくなります。また、床にカーペットや絨毯を敷くと、より温かさをキープできます。
時代を先駆けた画期的なアイデア
樅山
社長は今までどのようなこたつを開発してきたんですか?
川合
「足に当たるのが嫌」という声からヒーターユニットを薄くしたり、足の匂いを解消するための消臭機能を付けるなど、あらゆるニーズに対応してきました。また、こたつは部屋の真ん中で使われるので、安全な電源コードが必要です。引っ張ったり、踏まれても丈夫で、万一ショートしても火花が出ないよう工夫しました。
樅山
確かに今では薄いタイプが一般的ですね。当たり前のように使っていましたが、あれは川合社長が生み出したものなんですか?
川合
そうですね。元々は大きな赤外線電球を1つ付けていましたが、薄くするために熱源を4つに分けたんです。当時は画期的なアイデアとして、広く普及していきました。
高い技術と大きな責任感から生まれる
樅山
社長のアイデアの源は?
川合
長年培ってきた技術やノウハウはもちろんですが、やはり一番はお客様の安心・安全。商品がお客様へ渡り、壊れてなくなるまで、私たちには責任が伴います。お客様が安心できて、使いやすいものは何かを考えたら、自然とアイデアが生まれるんです。
樅山
社長はこたつの他にどんな商品を生み出してきたんですか?
川合
2~3秒で便座を温める便座用ヒーターや冷蔵庫や電子レンジに取り付ける電球など、入社してから50年以上の間に多くの商品を開発し、最近では独自開発したカーボンヒーターを使って、工業や食品加工分野の加熱器を開発中です。
こたつは家族の大切なコミュニケーションの場
樅山
最後に、こたつといえば、家族団らんの場所というイメージがありますよね。
川合
今は核家族が増え、それぞれが別の部屋で過ごすことが多くなってきました。こたつを囲んで家族が話をしたり食事をするのは、日本特有の文化なんです。
樅山
親族や友人と集まる機会が増えるこの時期には、こたつがぴったりですね。
川合
一緒にこたつに入っていると、ぐっと距離が縮まる気がしませんか?私も昔はこたつの中で好きな子の手を握ったりしてね(笑)。これからもこたつメーカーとして、日本人が大切にしてきた文化を継承していきたいと思っています。
樅山
こたつの中で手を笑。確かにそこも、こたつの良いところですね笑。このように様々な魅力のある「こたつ」。メトロ電気工業さんには、今後も、国内トップとして走り続けていって欲しいですね。(取材:松本翔子)