6台のボートがしのぎを削る高速の世界
晴れわたる夏の空の下、高鳴るエンジン音とともに1台のボートが悠然と目の前を駆け抜けていった。場内に響く歓声により徐々に高まる勝利への期待感。取材したこの日、白いボートに乗ったイケメンレーサーは誰よりも速くゴールへと辿り着いた。
ボートレーサー岩瀬裕亮、29歳。2010年にデビューして以来、これまでのレースで獲得してきた賞金は1億円を優に超える愛知県西尾市が生んだボートレース界の若きスターだ。
ボートレース界のトップを狙う若きホープ
約1,600人のレーサーがいる中で、上位20%のレーサーが対象となる最高ランク・A1級に属する岩瀬裕亮は、「天才」と称される存在だ。
デビューすると2年でA1級へ昇格。2013年に最優秀新人賞を獲得すると、2016年には次代のボートレース界をけん引することが期待されるレーサーとして「全国スター候補選手」に選出。名実ともに、ボートレーサーの頂点に向けて着実に歩みを進めている。
心技体を兼ね備えたレーサーとしての高い資質
しかし、ファンからの大きな期待がプレッシャーとなり心が乱れ、思うようにレースができない時期もあったという。その苦難の先で、ひとつの境地に辿り着く。
「一瞬の判断・操作で勝負が決まるボートレースの世界。自身のスキルや最善を尽くしセッティングしたモーターの性能を発揮できるよう、いかなる時でも平常心を保つよう心がけています」。ボートレースとは、技術と体力、そして精神力が求められる一筋縄ではいかない世界なのである。
長年の夢を叶えるため、決死の覚悟で養成学校へ
岩瀬裕亮はどのような道を辿り、ボートレースの世界に入ったのか。
「祖父の影響で幼少期からボートレースに親しんでいたこともあり、西尾中学校に通っていた頃にはボートレーサーを目指して、エンジンなど内燃機関の専門書を読み勉強していましたね。刈谷工業高校卒業を機に一旦企業に就職しましたが夢を諦めきれず退社。『絶対に成功する』という強い気持ちをもってボートレーサーの養成機関の門を叩きました」。
マシンと過ごすアクティブな休日
張り詰めた勝負の日々。その中でのリフレッシュ方法を聞いてみた。
「趣味のツーリングやドライブに出かけますね。気持ちはオフのつもりでいるんですが、レーサーという職業柄、ついつい信号が青になった瞬間を狙ってアクセルを踏んでしまうんです(笑)」。まさに根っからのレーサー気質である。
至福の時間は食事!西尾市のグルメにも精通!
「あと、美味しいものを食べることは次のレースに勝つために欠かせません。レーサーの使命である体重管理を行いながらも、好きなものを思いっきり食べることで鋭気を養っています」。
「地元、西尾市には焼肉の『ちから』や『金の月』、ソースロースかつが美味しい『さんれもん』、居酒屋の『山ざくら』など、お気に入りのお店がたくさんありますよ」。
甘いマスクで女性ファンも魅了!
冷静沈着なイケメンレーサーとして人気を集める岩瀬裕亮。本人にイケメンレーサーと呼ばれることについて聞いてみると、「正直恥ずかしいですね。ただ、自分がきっかけとなりボートレースに興味をもってもらえることはありがたいと思います」と笑顔。
さらに踏み込み、好きな女性のタイプについて聞いてみると、「うーん、食べることが大好きなので料理上手な人です(笑)」と、はにかんだ表情を浮かべた。
根底に息づく西尾人としての誇り
そして、故郷・西尾市への思いも語ってくれた。「大人になるにつれて『城下町の風景』や『抹茶』などの魅力を再認識しています。故郷をこれからも大事にし、ボートレーサーとしての活躍を通じて西尾市の存在をより多くの方々に知ってほしいです」。
県外のレーサーや知り合いには、抹茶を贈るという郷土愛の深さ。活躍の裏には、心の拠り所となる故郷の存在があった。
技術と心を磨き、目指せ賞金王!
最後に今後の目標について問うと「2017年9月にボートレース蒲郡で開催される『ヤングダービー』で優勝すること。そして、最終目標である賞金王を目指して精進し続けます。
ぜひ三河地域の皆さんには愛知県内のボートレース場で、生のスピード・音・迫力を楽しんでほしいです。私も豪快な走りで観客の皆さんに満足いただけるようがんばります!」との答えが。 地域、ファン、そしてボートレースを思う若き西尾人は、これからも盛大な応援を追い風にどこまでも速く駆けていく。(取材:西村友行)