ある日、災害放送に関わったとある社員と、先輩社員とのやりとり。
「電車止まったね。帰宅困難者がいるかもしれない。刈谷駅の中継行くよ!」「はい!」
先輩への返事が、どこか上ずっている。今日は初めての災害放送。
勢力を増した大型台風が、この西三河地域に近づきつつあった。
走る中継車の窓を、強い雨が叩く。「もしかして、緊張してる?」と先輩。
「大丈夫です」。そう言いながらも、脳裏には訓練での失敗がよぎっていた。
キャッチには「災害放送当番」があり、各班が毎週独自の訓練を行っている。
まだ記憶に新しいのは、避難を促すアナウンス訓練での、上司の言葉。
「もし目の前に逃げ遅れた人がいたとしても、今みたいに単調に話した?」
――グッと手を握る。今回の中継、ちゃんと自分にできるんだろうか。
思いつめた顔をしていたのかもしれない。
先輩が「参考までに」と昔話を聞かせてくれた。
「災害放送にこれだけ力を入れるようになったの、理由があるんだ」。
二十年前のある災害のとき、体制が整っていなくて
十分な対応ができなかったこと。地域の役に立てなかったこと。
その反省から、どこよりも地域に密着した災害放送を目指していること。
「反省は、すぐ活かす。いい?」
「…はい!」
雨はまだまだ強いけれど、心はもう曇っていなかった。
キャッチネットワークでは、地域に特化した災害放送に取り組んでいます。お客様満足創造本部とコミュニティFM「ピッチエフエム」のメンバー9~10名で構成された災害放送当番が3班あり、毎週交代で当番を担当しています。大型台風の接近時には、上記のストーリーのように社内に待機して災害に応じた放送を行うこともあります。自治体等と連携しながらテレビ、ラジオ、災害情報サイトを通して各種災害情報を発信するほか、場合によっては通常番組を取りやめ、緊急放送に切り替える場合もあります。