安城市民にとってのソウルフードといえば「中国料理 北京本店」など「北京」4店舗で味わえる「北京飯」。
ツヤツヤピカピカなご飯に、ふんわりとした玉子、ボリューミーな豚肉の唐揚げがのった豪快な一皿です。テレビや雑誌など、メディアでもたびたび取り上げられており、その都度お店に行列ができるほどの盛況ぶりです。
今回は、この「北京飯」の知られざる魅力やストーリーについてご紹介。知ればきっと何倍も美味しく感じられるはず!
三河安城駅近くの好立地
やってきたのは「北京本店」。
東海道新幹線・JR東海道本線「三河安城駅」から徒歩すぐの好立地ということもあり、腹ペコの学生さんや家族連れ、出張帰りのビジネス層など、幅広いお客さんでいつも賑わっています。駐車場が13台完備されているので、市外から車で訪れてもアクセス良好です。
「北京飯」仕掛け人・店長の杉浦さん
「北京本店」の店主・杉浦充俊さんは、祖父の代から続く「北京飯」を再び盛り上げた“仕掛け人”。
「北京飯は、お客さんの9割が注文する当店の人気メニューです!テイクアウトでの需要も多く、お土産にと買って帰る人も多いんですよ」と杉浦さんは話します。
これまで長く地域の人に愛されてきた「北京飯」ですが、その背景にはあるストーリーがありました。
“ご縁”とともに歩んだ、およそ半世紀
「北京飯」が誕生したのは、今からおよそ50年以上も前のこと。
初代店主(杉浦さんのおじいさん)が、まかないの調理中に卵の中に料理で使うタレを偶然入れてしまい、そのまま焼いてご飯にのせて食べたことがきっかけでした。まかないにはもったいないほどの美味しさだったため、「地域に愛される食べ物を」という思いで、店名を冠した「北京飯」として完成。地域の人々の胃袋を満たしてきました。
ところが、杉浦さんが専門学校に通っていたときに、店を切り盛りしていた二代目店主(杉浦さんのお父さん)が急逝。右も左もわからないまま、杉浦さんは19歳にして店を継ぐことになりました。
これまで店のキッチンにすら立ったことのなかった杉浦さんにとって頼みの綱は、「先代が残したレシピノート」と、「地域のお客さん」でした。
米、肉、卵。素材へのこだわり
店を継いだ当初、舌の肥えた常連さんの意見は厳しいものでした。しかしそれをありがたいアドバイスと捉え、先代のレシピをもとに、自分なりの「北京飯」を完成させることに注力しました。
その後、杉浦さんは「北京飯」を極めるべく、使用する材料を厳選することに。米は地元のブランド米「あいちのかおり」を、豚肉も地元の「三河ポーク」を使用し、卵も地元の養鶏場から仕入れることにしました。
もちろん、調味にも並々ならぬこだわりが。醤油や砂糖をベースに、独自の配合で卵と合わせることで、濃厚であと引く味わいを実現しました。
サクッとした歯応えの秘密は揚げ方にあり
杉浦さんのご厚意で、調理工程も見せていただくことができました!
まずは程よい厚さに切った豚肉に、味付けした衣をつけていきます。160〜170度前後に熱した油でじっくりと揚げていくこと約3分。「肉そのものの味わいを生かすため、また、下味によって肉が固くなるのを防ぐため、あえて衣の方に味付けをしています。
やや低温で揚げることで、フリットのような軽い歯応えになります」と杉浦さんが話すように、大人も子どもも食べやすいサクッとした食感に仕上がっています。
スピーディな調理でふわふわ・熱々の「北京飯」が完成!
唐揚げの油を切っている間に、丼に炊き立てのご飯を盛り付けます。
「あいちのかおり」ならではの甘い香りがただよってきて、食欲をそそります!ここでタレと合わせた卵にさっと火を通しますが、その時間はおよそ10秒。とろりとした半熟加減を残したままご飯の上にのせ、唐揚げを豪快に盛り付ければ「北京飯」の完成です。
ご飯と唐揚げと玉子を“三位一体”で味わうべし!
こちらが、完成した「究極の北京飯(846円・税込)」。いただくときは、ぜひご飯と唐揚げと卵を一緒に味わってみて。豊かな食感と素材の旨味、甘辛いタレの味わいを一度に感じることができ、口の中が幸福感に包まれるはず。
杉浦さんによれば、お肉が2倍になった「DX北京飯(970円・税込)」や、玉子が1.5倍の「厚玉子北京飯(864円・税込)」などを注文するお客さんもいるのだとか。好みにも合わせた楽しみ方ができるのも、長く愛されるポイントなのですね。
また「北京飯」は、安城市内に4店舗ある「北京」の全てで食べることができますが、実はお店によってタレの味が少し異なるのだそう。店舗ごとのこだわりを食べ比べる「北京ファン」も多いのだそうですよ。
家庭でも「北京本店」の味が楽しめる
「もっと多くの人に北京飯の味を届けたい」という思いから、お店の味を再現した「極 北京飯のタレ(540円・税込)」や、災害時にも役立つご飯の入った「北京飯缶(540円・税込)」などの販売もしています。お店のECサイトのほか、市内の大型スーパーや駅構内のキオスクなどで取り扱いがあるのだそう。
「北京飯のタレ」には、料理研究家の長田絢さんが監修した特別レシピも掲載。北京飯はもちろん、麻婆カレーや中華風煮込みハンバーグ、油そばなどが作れるということで、楽しみ方のバリエーションもますます広がりますね。家庭でもお店の味を存分に堪能しましょう!
ECサイトはこちら
レシピ集はこちら
「北京飯」で地元だけでなく世界も元気に
杉浦さんに今後の展望を伺うと「まずは地元の企業と協力しながら、北京飯のおいしさを広めていきたい」との思いが聞けました。
現在も、いくつかの企業が社食に「北京飯」を取り入れており、「うちにも来てほしい!」という声が多くあるのだそうです。
また、FC展開などもしながら店舗数を拡大し、日本だけでなく世界各国への進出も視野に入れているとのことで、今後ますます期待が持てそうです。
杉浦さんと「北京飯」の挑戦は、まだ始まったばかり。こだわりと思いが詰まった一杯をぜひ味わってみてください。(取材:光田さやか/2023年5月取材)
中国料理 北京本店
住所:安城市三河安城本町2-4-1
電話:0566-75-0230
営業時間:11:00〜14:30(L.O.14:00)、17:00〜21:30(L.O.21:00)
定休日:月曜
駐車場:13台
HP
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