愛知県西尾市にある味噌の醸造元「はと屋」には、味噌のテーマパーク「みそぱーく」があるのをご存じでしょうか?
ここは、はと屋9代目・鳥山鉄示さんの「もっと味噌に親しんでほしい」という思いから誕生した「食べる・見る・学ぶ・買う」を一貫して体験できるスポットです。蔵見学やガイド付きツアー、合わせ味噌をつくる「みそまる体験」などを通じて、味噌の素晴らしさが知れるみそぱーくの魅力をレポート。きっとあなたも「味噌の世界」に浸りたくなるはず。
※2023年8月取材・撮影
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趣ある瓦屋根の建物
みそぱーくは、国道23号西尾東インターから車で10分、西尾駅を通過し康全寺が右手に見える交差点を左折すると現れる、はと屋の敷地内にあります。
ここには、見学できる味噌蔵や資料館、直売所があり、合わせ味噌をつくる「みそまる体験」ができます。
直売所では、たまり醤油や白醤油、調味料の製造販売がされています。敷地内には趣ある瓦屋根の建物が。
駐車場が広いので、車でお越しの方や団体客の方も安心して来館できます。
1861年創業の老舗味噌製造会社「はと屋」
みそぱーくを運営するはと屋は、1861年(文久元年)から豆味噌づくりを開始した老舗の味噌製造会社。味噌製造の機械自動化が進むなか、新しいことに挑戦しながらも昔ながらの方法や職人技を大切に継承してきました。
たとえば、はと屋は100年以上前から使っている木桶を今も使用し、味噌を製造。大豆を仕込んだ木桶の上に職人が石を一個ずつ積み上げるという昔ながらのやり方を今も受け継いでいます。
地元・愛知県だけでなく全国に向けて美味しい味噌を提供しています。
味噌樽は明治時代から受け継いだもの
味噌蔵は無料(予約不要)で見学が可能。100年以上継承されてきた味噌樽を間近で見られ撮影もできます。
味噌蔵に足を踏み入れると、明治時代から受け継がれる仕込み桶がずらり。普段なかなか見ることができない迫力満点の大きな味噌樽は、思わず写真を撮りたくなること間違いなし。
作業のタイミングによっては味噌蔵を見学ができない場合があるので、事前に電話で確認しておくと安心です。
徹底解説してもらえる「味噌知るツアー」
もっと味噌の知識を深めたい方には、鳥山さんがガイドしてくれる「味噌知るツアー」がおすすめ。
「桶の上にあるのは、約300個の石。重さは2t~3tです」などと、説明してもらいながら蔵を見学。さらに、体験教室で動画と小冊子を使って味噌についての講座を受けることができます。
予約制で1人100円(税込)で参加可能。はと屋オリジナルの味噌だれや売店で使える100円券などうれしい特典つき。
歴史や年代物が好きな方必見!
資料館では、江戸時代から現在の場所で豆味噌をつくり始めたはと屋の創業当時の写真や会社名にちなんで集められた「はとグッズ」、正月に取引先へ渡していたという宝船の絵などが展示されており、歴史の重みを感じることができます。
さらに、西尾城で使われていた「しゃちほこ」、松平家の紋章なども見られます。その他にもさまざまな年代物が飾ってあり、歴史マニアにはたまらない施設となっています。
合わせ味噌をつくる「みそまる体験」に挑戦できる
提供画像:みそぱーく・はと屋
1人1,000円(税込)で参加できる合わせ味噌をつくる「みそまる体験」は、小学生の自由研究のテーマとしても人気。
みそまるとは、赤味噌と白味噌の合わせ味噌を調合、丸い形に整え乾燥食材をデコレーションしてつくる味噌汁の素のこと。みそまる1個で1杯分の味噌汁ができます。
この教室では6~7個分(味噌汁6~7杯分)を手作りし、持ち帰ることができるため、来館者からも好評。参加希望日の一週間前までに予約してくださいね。
味噌、白醤油、たまり醤油、調味料を販売
直売所には、美味しい食べ方を記したポップが添えられており、今まで使ったことのない調味料にチャレンジしてみたくなります。
なかでも鳥山さんのおすすめは、知人との会話から生まれた「にんにく塩だれ(580円・税込)」。はと屋のうす口たまり醤油をベースに、生にんにくとフライドにんにくをブレンドした調味料で、「キャベツ和え」におすすめです。
キャベツを一口大に切り、「にんにく塩だれ」と少量のゴマ油を和えるだけで簡単につくれます。
築103年の古民家を改装した新施設も
味噌消費量の減少に伴い、味噌の醸造元がどんどん廃業するなか生き残ったはと屋。今も新しいことに挑戦しようと、築103年の古民家を改装したみそぱーく内の新施設を、地域で活躍する料理人に貸し出す取り組みを始めました。
現在は紹介制のレストラン「龍神 みつやま」として使用され、和・洋食の料理人がこだわりの料理を振る舞っています。室内は、シックで和モダンな雰囲気。インテリアの細部までにこだわりを感じる洗練された空間は、結婚式前の両家顔合わせなど大切なシーンでも使うことが可能です。カウンター席があり、シェフの調理姿を眺めながら料理を楽しむこともできますよ。
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味噌は健康の源
大豆と麹から作られる味噌は、たんぱく質が豊富な発酵食品です。麹が消化酵素を生成し、消化酵素がたんぱく質を分解してくれるので、消化器官に負担をかけることなく栄養を吸収することができます。
豆味噌は、日本で多く普及している米味噌や麦味噌と違い、麹も大豆から作られるので、より多くのたんぱく質が含まれています。「まずは、1日1杯の“味噌汁習慣”をつくることを推奨しています」と鳥山さんは話します。
味噌の魅力を存分に知れるみそぱーく。ぜひ、みなさんも足を運んでくださいね。
(取材:宇佐美真弓/2023年8月取材・撮影)