愛知県高浜市の穏やかな木々の中にたたずむカフェ「けやきの杜」。2016年の夏に開業してから、おいしいパンやコーヒー、ランチなどで地元の人々を癒してきました。そんなけやきの杜に2023年4月、野菜を取り扱う「もりのおやさい」がオープン。
さっそく足を運ぶと、店内には地元の農家が農薬を極力使わずに育て上げた野菜を中心に、全国各地の新鮮な野菜がズラリ!ナチュラル志向の人からトレンドに敏感な人まで、さまざまな人を魅了し続けるけやきの杜に、なぜ今八百屋が仲間入りしたのでしょうか。店長・今井敬子さんに話を聞きました。
「けやきの杜」に仲間入りした八百屋さん
高浜市にあるけやきの杜は、緑いっぱいの敷地内にモーニングやランチを提供するカフェとコーヒースタンド、ベーカリーなどが集まった複合施設です。青い布看板が目を引くもりのおやさいでは、地元の農家の方が大切に育てた新鮮な野菜や、全国から集まった今が食べごろの野菜や果物、野菜をもっとおいしく食べられるようにと選りすぐられたドレッシングなど、幅広い商品が用意されています。
現在は、約40種類の野菜と15種類の果物を販売中。今井さんによると、特にフルーツにこだわっているんだとか。「旬のおいしい果物をたくさんそろえてお待ちしています」と笑顔を見せていました。
コロナ禍で行き場を失った野菜を救え!
もりのおやさいがオープンしたのは、2023年4月1日。「コロナの影響で卸先が減って困っている」という地元農家の声を聞いたけやきの杜のオーナーが、同級生だった今井さんを誘って店を始めました。
もともと、中華料理屋で接客や管理の仕事をしていたという今井さん。「野菜に関してはまだ勉強中です。農家さんに『このお野菜はどう使うの?』と聞いたり、お客さんにも相談したり…。教わることだらけです」と話します。
地元の新鮮・安全な野菜を安く提供したい
もりのおやさいでは、地元で採れた野菜をメインに全国各地の旬の味をそろえています。
今井さん(写真右)が「新鮮で安心な地元のお野菜が安く買えること、スーパーでは買えないような珍しい野菜を売っていることがこだわりです。サイズが大きいのも自慢なんですよ」と話す通り、どの野菜もみずみずしくて重量感たっぷりです。
筆者が気になったのは花わさび。わさびの葉と茎に小さな花がついたもので、ツンとした辛みが特徴だそう。スーパーではお目にかかれないレアな野菜に出会うと、つい心がはずんでしまいます。
目指すのは「野菜のセレクトショップ」
今井さんは、その日に入荷する野菜のラインナップに合わせて献立の提案をすることも。この日は韓国料理でよく使われる青トウガラシの入荷に合わせて、「今日は韓国料理にしませんか?」と書かれたポップとともに、サニーレタスやニラ、パプリカが陳列されていました。
もりのおやさいが目指しているのは「野菜のセレクトショップ」。今井さんは「チラシを見て『これが安いからあのスーパーに行こう』とか、いつものお店で『なんとなく安いものを買おう』とかではなく、いつ来ても新しい発見があるお店にしたいです」と声を弾ませます。
野菜はカフェのメニューでも楽しめる
もりのおやさいで取り扱う野菜は、敷地内にあるカフェのランチメニューなどで使用されているほか、隣接するコーヒースタンド「もりのコーヒー」でもスムージー(500円・税込)として提供されています。この日はバナナ、ケール、りんご、レモンを使ったグリーンスムージーと、グレープフルーツ、オレンジ、レモンを使ったフルーツスムージーの2種類を注文。
新鮮な野菜の甘み、果物本来の持つ程よい酸味、そして栄養がぎゅっと詰まったフレッシュなスムージーは絶品です。
スムージーに使われる野菜や果物は週替わりなので、訪れるたびに新しい出会いがあるのはうれしいですね。店舗同士が結びついているけやきの杜だからこそできる取り組みで、野菜の可能性はもっと広がりそうです。
農家のために生まれた八百屋だから
地元農家のために生まれたもりのおやさいでは、“農家ファースト”が基本的な考え方です。
「卸先に野菜を持っていく農家さんは、売れ残ったら自分で取りにいかないといけないんです。
しかも、持ち帰って処分するのもお金がかかる。私たちのお店では持ってきていただいた段階で全て買い取るので、取りにきてもらわなくても大丈夫。農家さんの手間を極力減らしています」と胸を張る今井さん。
店には堆肥を作るための設備も導入しているので、万が一野菜が廃棄になってしまっても、堆肥として生まれ変わらせて農家に還元することができます。実用化まではまだ時間がかかりますが、将来的には堆肥の販売も計画しているそうです。
老若男女全ての人が笑顔になる店づくり
今井さんは今後の店づくりについて「とにかくにぎやかなお店にしたいですね」と話します。
おしゃれなセレクトショップのように、その日しかない野菜との出会いを楽しんで、持ち帰ることができる八百屋。それが今井さんの目指すもりのおやさいの姿です。「とにかく一度見にきて、楽しんでいただきたいです。野菜を買う目的だけではなく、ただ足を運ぶだけでも楽しい場所にしていけたら」。
カフェからコーヒースタンド、ベーカリー、そして八百屋と、広がり続けるけやきの杜の輪。新緑に癒されながら、新たな魅力を訪ねてみては。(取材:安藤香奈美/2023年4月取材)
「けやきの杜」もりのおやさい
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